「大きな空港には必ずバーガーキングがある説」を検証する

バーガーキング。言わずと知れた世界的に人気のバーガーチェーン店である。そんなバーガーキングについて、まことしやかに囁かれる都市伝説がある。

「大きな空港にはバーガーキングが必ずある」

この記事では、この説の真偽、および実際にバーガーキングはどの程度空港内に存在しているのかを調査する。 

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図1. 北京首都国際空港バーガーキング

 

1. 前置き

 長時間のフライト、慣れない英会話、びっしりと埋まった観光スケジュールetc...なにかと海外旅行では疲労が溜まりやすい。帰りの空港に着いた時には、疲労困憊で何もする気が起きないという経験をした人は少なくないだろう。そんな状態でおいしく食事が出来る店を探すことほど億劫なことはない。だが、案ずることはない。そんな時に限って、目の前にバーガーキングが現れるのである。慣れ親しんだハンバーガーのロゴ。それを見たとき我々は、海外に居ながらにして故郷にいるような安息を覚えるのである…。

…というのは冗談であるが、実際に私は幾度となく海外の空港でバーガーキングを見かけている。海外旅行オタクの友人たちもバーガーキングを多く見かけると言う。そこで私たちの間に、この記事の最初に述べた都市伝説が生まれたのである。

 空港は海外旅行で必ず通過する場所であり、長時間滞在することも多い。そんな空港での楽しみ方の一つとして、「バーガーキングを探す」ということを本調査を通じて提案したい。これによってこの記事を読んだ方の海外旅行が少しでもより楽しいものになれば幸いである。

ところで、「バーガーキング」をどのように略すだろうか?
私も含めて多くの人は「バーキン」と略すと思われる。だが、私の知人O氏によると、静岡の一部地域では「バガキン」と略すらしい。この記事ではO氏に敬意を表して、「バガキン」の略称を用いたい。

 

2. 調査目的

世界中の大きな国際空港におけるバーガーキング(以下、『バガキン』とする)の有無を調査する。得られた結果から、世界各地域におけるバガキンの出店傾向について考察する。


3. 調査方法

まず「大きい空港」の定義を以下の2種類とし、それぞれを調査対象とした。

  1. 「World Airport Awards」の「World's Top 100 Airport 2019(https://www.worldairportawards.com/worlds-top-100-airports-2019/)」の上位50位の空港。
  2. 2018年度の旅客者数が最も多かった上位30位の空港。

以上の延べ80箇所の各空港について、以下の四段階の方法によりバガキンの有無を判定した。

  1. 調査員が現地に訪問して、バガキンの存在を確認した空港はバガキンが有ると判定した。
  2. 各空港の公式ホームページ内のレストラン一覧から探した。
  3. ツイッターで検索をし、現地を訪問した人のツイートを探した。過去2年以内に空港内のバガキンに訪問した人がいる場合は「有り」と判定した。
  4. Googleマップで空港の周囲のバーガーショップを検索した。

このような段階的な手法を取るのは、「バガキンが存在しない」という証明を確実にするためである。

 

4. 調査結果

調査結果を下表1,2に示した。

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表1. 空港ランキング上位50空港におけるバガキンの有無

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表2. 利用客数上位30空港のバガキンの有無

また、各地域ごとの存在率を下表3,4にまとめた。

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    表3. 地域別空港存在率(表1の結果による)

 

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     表4. 地域別空港存在率(表2の結果による)


5. 考察

(1) 結果全体について

 表3,4に示した通り、定義①・定義②でバガキンの存在率はそれぞれ58[%],72[%]であった。記事の最初では「大きな空港にはバガキンが必ずある」と述べたが、この説は誤りであった。しかし、どちらの定義においても6~7割程度の空港にバガキンが存在していたので、バガキンの存在率は高いと言える。
 定義②の方が存在率が高かったが、これは定義2の空港は旅客数が多い空港なので空港の規模が大きかったからである。定義①の空港は必ずしも規模が大きいのではないので、定義2と比較して低くなった。

(2) 地域による違い

 表3,4をみると、どちらの定義でも存在率が6割程度以上と高かった地域はヨーロッパ、アジア、中東・インド、南北アメリカで、低かった地域は日本、アフリカ、オセアニアである。
 中東・インドにおいても存在率が75[%]以上と高かったが、この地域の結果はもっと低くなると予想していた。この地域にはハンバーガーの原材料となる牛肉を口にすることが制限されるイスラム教徒やヒンドゥー教徒が多いからである。外国人観光客の利用が多いのだろうか。
 オーストラリアではハンバーガーが多く食されるにも関わらず、存在率が低かった。この原因は、オーストラリアでは他のバーガーチェーン店が台頭しているからだと考えられる。実際、調査をしている中でオーストラリアのどの空港にマクドナルド、Better Burger、Hungry Jackといった他のバーガーチェーン店が存在していた。
 日本では関西国際空港しかバガキンが存在しておらず、他国と比較すると存在率がとても低かった。あくまで予想であるが、この原因は日本では牛丼やおにぎりなどのファストフード的な日本食が存在するからではないだろうか。さらなる調査によって明らかにしたい。

(3) 調査手法についての反省

 中国ではGoogleマップの情報が制限されているため、バガキンの有無を明らかにできなかった空港があった。今後の現地調査により明らかにしたい。
 一つの手法のみで存在を確認できたが他の手法では確認できなかった空港がいくつかあった。一つの手法のみではデータの正確度が低い。一番正確な手法は現地調査なので、今後の現地調査によりこれらのデータの裏付けをしたい。


6. 結論

バガキンは大きな空港の約7割に存在する。

 

7. 参考文献

1) SKYTRAX (2019), "World's Top 100 Airports 2019,"

https://www.worldairportawards.com/

 2) Reed Business Information Ltd., "Flight Airline Business," (2018).

 

8. 感想

 「空港でバガキンをよく見かける」という私の所感の通り、数多くの空港にバガキンが存在していた。この事実は大変喜ばしい。なぜなら、「世界のどこにいても大きい空港に行けば多分バガキンがある」ということが分かったので、どこにいてもあのおいしいワッパー(※バガキンの商品。下図2参照)にありつけるからである。海外の各地域でワッパーの食べて比較してみたい。

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図2. バガキンのワッパーチーズセット

 また、今回の調査のなかで、バガキンが無い空港のほとんどに他のバーガーチェーン店が存在することが明らかになっている。今後はマクドナルドやケンタッキーフライドチキンといった他の世界的に有名なバーガーチェーンについても調査を行い存在率を明らかにしたい。

 前書きでも述べたが、この記事の意義は空港での楽しみ方の一つとして「バーガーキングを探す」ということを提案することである。これによってこの記事を読んだ方の空港での滞在、ひいては海外旅行そのものがより楽しくなることを祈る。

 

(文責:Enshin)


9. 調査員紹介

Enshin Akemi (@634_forest)
Enshin Modeling, Inc. の広報担当。「甘いものにマズいものはない」をモットーに、海外では現地の甘いものを食べまくる。

Tategami Kafu (@tatemi_chino)
旅行好き同人作家。香港で、何もしていないのに「見た目が怪しい」という理由で警察に捕まったことがある。

Halberd Unagi (@unagi_oishi)
微生物の研究者。世界各地のう〇こを採集することを生業としている。

Fintoss Krishima (@kirisima930)

阿部寛似のバックパッカー。アロハシャツとビーサンで東南アジアを1か月間徘徊していた。